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2007年5月 6日 (日)

コラム、『勝敗を分けたものとは』

Cl_2006_4  史上初のイングランド勢同士の決勝進出に注目が集まったチャンピオンズ・リーグ準決勝 2nd-legの結果は、マンチェスター・ユナイテッドがACミランに敗れ、プレミアファンの夢は残念ながら叶わなかった。この結果、アテネで行われる決勝戦は、2年前の決勝戦と同じリバプールとACミランの顔合わせとなった。

 降り続く大粒の雨にも関わらず、超満員の観客を集めたジュゼッペ・メアッツァ。試合開始前にもかかわらず、ミラノサポーターによる"地鳴り"のような応援にスタジアムは包まれていた。その光景は奇しくも、1st-legでオールド・トラッフォードに集結したユナイテッドサポーターたちが、ACミランに容赦なく浴びせ続けた"威嚇"とも取れるプレッシャーと同じものだった。ただ先週と違うことは、そのプレッシャーの矛先が今度は自分たちに向けられ、確実にACミランの後押しをするものである。
 このような状況からマンチェスター・ユナイテッドがデイフェンスに追われる展開をある程度予想させた。そして試合が始まるとその予想はすぐに現実のものとなって現れた。大声援を受けるホームのACミランが試合開始直後から主導権を握り、早くもマンチェスター・ユナイテッドは我慢の時間帯を強いられた。"試合序盤の相手の攻勢を凌いで、得意のカウンター攻撃から試合の流れを変える"、このような理想のゲームプランが試合前の彼らにはあったはずだろう。だが、そんなマンチェスター・ユナイテッドのゲームプランは開始わずか11分でもろくも崩れさった。ペナルティエリア手前で放ったカカ(ブラジル代表MF=25)のシュートが、ACミランに先制点をもたらし、同時にホーム&アウェー方式で争われる合計スコアでもビハインドを負ってしまった。決勝進出へ向けて攻めるしかなくなったマンチェスター・ユナイテッド。 "攻撃こそが最大の防御" とも言わんばかりのフットボールは、リーグ戦でも数々の逆転劇を収め、多くのファンを魅了してきた。多彩な顔ぶれに"若さ" が加わった攻撃陣は文句なしの破壊力を持ち、この時点では僕も含めて多くのファンが彼ら本来の姿に期待を寄せた。

 しかしACミランの "経験" はマンチェスター・ユナイテッドの "若さ" を完全に凌駕していた。栄光と歴史の "経験" を受け継いできたACミランの選手たちは自信に溢れ、体を張った玉際のせめぎ合いや、時折見せる観客と自分たちを盛り上げるような手振りは、この一戦に望む彼らの勝利への意欲が随所に見られた。逆にマンチェスター・ユナイテッドの選手たちは、ACミランの激しいプレスや波状攻撃の前に、試合のペースが掴めない。特に中盤で先発したキャリック(イングランド代表MF=25)とフレッチャー(スコットランド代表MF=23)は、明らかに "経験" の差を露呈せざるを得なかった。やがて前半30分にACミランが追加点を上げると、マンチェスター・ユナイテッドの選手は狼狽した様子もなく、どこか落胆の表情にも見えた。それは見ている側にも、この試合の行方をこの時点で想像させるものだった。
 この試合、ACミランは徹底的なプレスによりマンチェスター・ユナイテッドにチャンスらしいチャンスを与えなかった。1st-legで幾度も左サイドを駆け上がったC・ロナウド(ポルトガル代表FW=21)に対しては、常に2人以上でプレッシャーをかけ続け、その攻撃を完全に封じこめた。中でもACミランのガットゥーゾ(イタリア代表MF=29)の存在は非常に大きく、豊富な運動量と感情を全面に現す彼のプレーは、マンチェスター・ユナイテッドに足りない何かを感じさせた。常にチームを鼓舞し続ける "闘う" 姿はまさに壮漢であり、まるで一昨年までマンチェスター・ユナイテッドに在籍した全盛期のロイ・キーン(現サンダーランド監督)を彷彿させるものだった。
 その後もACミランの度重なるプレスを前に、反撃の糸口さえ見つからないマンチェスター・ユナイテッド。こうして前半が終わるまで降り続いた大粒の雨に、事実上イングランド勢同士による『夢の決勝』も流されてしまった。そして雨が上がった後半は、ジュゼッペ・メアッツァに木霊するミラノサポーターの大声援だけが試合終了まで鳴り響いていた。

 1st-legを3-2で勝利したマンチェスター・ユナイテッドはこの試合での勝利はもちろん、引き分け以上の結果でアテネ行きの切符を手にすることができた。しかし大一番を前に、度重なる怪我人による不安と、1st-legで奪われたアウェーゴールのプレッシャーにより、彼らが逆に窮地に陥っていたことは想像ができる。しかし0-3というスコアは果たして、誰が予想できたであろう。
 この試合でマンチェスター・ユナイテッドに "足りなかったもの" は何だったのか。僕にはそれが "闘争心を兼ね備えたリーダー" の不在によるものだと思えた。この試合は確かに若さ故の ”経験” 不足が否めなかった。しかし失点後もチームを鼓舞し続けられる存在が、ピッチに立ちっていたらどうであったろう。恐らくチームに再び自信と勝利への意欲を取り戻させたのではないか。
 これを象徴する試合が、2年前のチャンピオンズリーグ決勝戦である。この試合で絶望とも思える0-3のスコアから、リバプールを救ったのはジェラード(イングランド代表MF=25)だった。彼は自ら決めた得点後にボールを拾い上げ、すぐさまセンターサークルへ走った。その間、彼は何かを叫びながらチームを鼓舞するように何度も大きく手を振り挙げた。どんな言葉を叫んだのかはわからない。大事なのはそんな彼のメッセージが、諦めかけていたチームを再び奮い立たせるきっかけとなったことだ。その後の結果を見れば、彼の姿がチームに希望と強い気持ちを植え付けるのには十分だったことがわかる。
 マンチェスター・ユナイテッドは名実ともに、世界でも最高のチームの1つである。若い才能を多く抱え、ベテランが融合したこのチームが繰り出す攻撃は、見るものを夢中にさせる。しかし一方で自らが精力的に動き、味方を鼓舞するような役割を担う存在に欠けている。勝利への意欲を明確にすると同時に、苦境に立たされた時でもチームにある種のメッセージを送れるような存在。そう、それは決勝進出を果たしたガットゥーゾやジェラードのような存在であり、今のマンチェスター・ユナイテッドには "足りなかった" ものでもある。

 Written by MA-

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