« アーセナル、ベンゲル監督『アーセナル以外に考えられない』 | トップページ | プレミアリーグ、結果(15日)アーセナルが北ロンドンダービーを征し、首位に浮上! »

2007年9月16日 (日)

コラム、『明暗の分かれた1ヶ月を振り返る』

 開幕から早くも1ヶ月が経ったイングリッシュ・プレミアリーグ。待ちに待った開幕戦を日本では放映権が得られないという残念な事態で迎えたが、第2節より日本でも放送が始まって一安心した人も少ないだろう。移籍市場も終了して各チームともこれからが本番ともいえる9月。早くも波乱含みの様相には期待と不安が見え隠れしている。

 チェルシーがホームの無敗記録を更新した開幕戦。。興奮覚めやらない中で、さらに周囲を驚かせたのはマンチェスターに本拠地を置く2チームだ。
 プレミアリーグ初のアジア人がオーナーを務めるM・シティは、新オーナー誕生による潤沢な資金の使い道に大きな注目を集めた。監督に元イングランド代表監督でもあるエリクソン氏(スウェーデン=59)を迎え、その後は彼の豊富な人脈と96億円とも言われた補強資金を武器に、昨シーズン29得点に終わった攻撃陣のテコ入れに着手した。特に昨シーズンのFW陣はサマラス(ギリシャ代表FW=22)の挙げた4得点が最高と、05/06シーズンから激減した得点を回復させるには欠かせない補強ポイントでもあったのだ。報道されていたビッグネームの獲得こそ実現しなかったが、それでもセリエAで昨シーズン18得点を記録したビアンキ(イタリアFW=24)に加え、同じくセリアAの名門ユベントスからボジノフ(ブルガリア代表=21)の獲得にも成功した。さらに攻撃的MFのポジションにも複数の選手を補強するなど、攻撃面のレベルアップに期待のもてる顔ぶれを揃えた。 
 手応えを掴んだ攻撃陣に対して、ディスタン(フランスDF=29)の抜けた守備面に不安を残したまま開幕を迎えたが、ここからは本来第3GKであったK・シュマイケル(U21デンマーク代表GK=20)の活躍もあり、チームは開幕からの3試合を無失点で全て勝利した。その後のアウェーでは連敗を喫したものの、ここまでは不安視されていたDF陣が健闘している。ここ2試合をいずれも無得点で終えた攻撃面の課題はクリアされていないが、一時はリーグ首位にも躍り出た活躍は周囲を大いに驚かせた。攻撃の修正が焦点となる今後も、健闘を見せるDF陣の勢い次第では面白い存在になるのかもしれない。

 一方、昨シーズンの覇者でもあるM・ユナイテッドは、守備的MFのポジションにハーグリーブス(イングランド代表MF=26)を、前線の補強としてC・ロナウド(ポルトガル代表FW=22)2世と名高いナニ(ポルトガル代表MF=20)の獲得に加え、開幕直前にはハマーズからテベス(アルゼンチン代表FW=23)をレンタルで獲得するなど、連覇へ向けた大型補強に成功した。しかし盤石の体勢で臨んだはずの開幕戦から2試合を引き分け、92年のリーグ再編以来初めての失態を曝すと、続く第3戦ではライバルM・シティに敗戦。後の連勝で順位は何とか8位まで上げたものの、ルーニー(イングランド代表FW=21)とC・ロナウド不在の影響は大きく、奪った得点は僅かに3点と自慢の攻撃は影を潜めている。さらにピッチ外でも泥沼化したエインセ(アルゼンチン代表DF=29)の移籍や、3冠経験者でもあるスールシャール(元ノルウェー代表=34)の引退と、チームには暗いニュースばかりが目立っている印象だ。
 こうしたチーム状態の原因は、ルーニーとC・ロナウドを同時に欠く事態が大きいことは確かだが、チームの選手層の薄さにも原因を感じる。中盤の選手層はリーグ随一を誇っているが、FWはルーニーの他に計算できる選手がサハ(フランス代表FW=29)と新加入のテベスのみで、いずれもこれからコンディションを上げていく状態にある。またチームが得意とするサイド攻撃も、ナニの玉離れの悪さでリズムを崩し、G・ネビル(イングランド代表DF=32)の代わりに右SBを務めるブラウン(イングランド代表DF=26)のクロスは精度に欠けている。こうした攻撃面の歯車が噛み合わない場面からは、チーム自体のコンディションの悪さも伺える。
 幸い次戦からはC・ロナウドの出場停止も解け、ルーニーのベンチ入りも噂されるが、彼らの復帰によってチームはリズムを取り戻すことが出来るのだろうか。今月はC/Lの決勝ラウンドも始まり、23日にはチェルシーとの大一番も控えている。調子の上がらない王者は、あまりにも早い今シーズン最初の試練を迎えるのかもしれない。

 開幕前、今シーズンの注目チームにトットナムを挙げた人はどれだけいただろうか?4000万ポンドとも言われる大型補強に興奮し、リーグ屈指の攻撃陣の顔ぶれに周囲の期待が集まった。もちろん僕もその中の一人である。ところが開幕からまさかの連敗。第3節のダービー戦でようやく初勝利を挙げたものの、第5節のフラム戦ではリードしては追いつかれるという悪循環でドローと、これまでの5試合で得た勝ち点は僅か4に留まっている。その内容も8得点に対し8失点と出入りが激しく、攻撃面で2試合に3得点以上を挙げている試合もあれば、DF面で3失点が2試合と、いずれの結果も安定感に欠けていることがわかる。
 15日はいよいよ注目のノースロンドン・ダービーを迎える。今シーズンの最大のライバルと目されるアーセナルが好調なだけに、ホームで迎える直接対決では結果が欲しいところだ。フルアム戦で3得点を挙げた攻撃陣にA・レノン(イングランド代表MF=20)の復帰が予想され、より重厚な攻撃の期待は十分に持てる。しかし一方でキング(イングランド代表DF=26)、ドーソン(イングランド代表DF=24)を怪我で欠くDF陣の不安は解消されていない。これ以上離される訳にはいかない状況に加え、ベストの布陣を組めないDF陣の踏ん張りが今後を大きく左右しそうだ。

 注目のノースロンドン・ダービーの対戦相手でもあるアーセナルは、リバプールと同じ勝ち点で得失点差の2位に続いている。先日、ベンゲル監督(フランス=59)が再契約したニュースに、安堵したファンは多かっただろう。今シーズンはアンリ(フランス代表FW=29)の抜けた穴をいかに埋めるかに注目が集まったが、元々ポテンシャルの高い選手が揃っているだけに、ここまでは順調な結果を残している。完全復活を遂げたファン・ペルシー(オランダ代表FW=24)が、プレシーズンマッチを含めてここまでは期待通りの働きを見せ、新加入のサニャ(フランス代表DF=24)も今までにないアーセナルの右SBとして存在感を放っている。
 しかしもはやセスク(スペイン代表MF=20)がチームの支柱となっているだけに、彼の存在がピッチから消えてしまう事態に陥れば、一気に苦境に立たされる可能性も否定できない。キャプテンのギャラス(フランス代表DF=30)の離脱をはじめ、怪我などで出遅れている選手も多く、さらにはレーマン(ドイツ代表GK=37)の不調と、マイナス要素は以外にも多い。そしてこれから迎える過密スケジュールは、選手層を誇れないチームにどう影響するのだろうか。好調と表裏一体のアーセナルに、以前までの余裕は見られない。

 第5節を終わって首位に座に躍り出ているリバプール。昨シーズンは開幕8試合で僅かに2勝と大きく躓いたが、今シーズンは4試合で3勝と好調だ。その要因は、この夏に獲得した新戦力の順調な活躍にある。中でも4試合で3得点と、結果を出しているF・トーレス(スペイン代表FW=23)の存在は大きい。甘いマスクと華奢な印象からリーグのスタイルに順応出来るか心配されたが、ストライカーとしての役割に加えフィジカルの強さにも問題がないことを自らがアピールしている。他にも新戦力であるヴォロニン(ウクライナ代表FW=29)の活躍が目立ち、FWの先発争いは日に日に激しさを増している。ローテーション方式を採用するチームにおいて、この競争は今後の過密日程に備えたハイレベルな準備にも見える。そして今月の残りの対戦相手を考えれば、勝ち点を取りこぼさずに18シーズンぶりの優勝へ向けた布石を打ちたいところでもあるのだ。

 先日、プレミアリーグのクラブがこの夏に投じた補強金額の合計は、史上最高金額の5億3,000万ポンドとの報道があった。驚くべきは、昨年50億円以上を補強に費やしたチームが3チームだったのに対し、今年は12チームが同金額を補強に費やしている点だ。これまで大型補強と言えばこれまではビッグ4の代名詞でもあったが、この夏はトットナムやウエストハムなどが大枚を叩き、フルアムはこの夏だけで15人もの選手を獲得している。12チーム全ての内訳までは分からないが、これまでに大型補強に無縁と思われたチームが数多く含まれている点は間違いがないだろう。そして今回の史上最高額の更新は相次ぐ外国人オーナーの誕生により、リーグ内の競争は一段と激しさを見せるはずだ。
 近年、プレミアリーグに集まる投資家たちの波は衰えを見せず、彼らの興味は人気と実力を兼ね備えた一部のチームから、リーグ全体へと裾野を拡げた。豊富な資金とビッグネームの獲得には新鮮さが伺え、多くのファンとスポンサーの獲得にも成功を収めている。こうした一連の動きが加速し、さらに次々と誕生する外国人オーナーによる競争力も加わることで、今日のリーグは大きな盛り上がりを見せているのだ。しかしそれは同時に、パトロンなしではフットボールが語れない域にまで達しているのかもしれない。

 Written by MA-

|

« アーセナル、ベンゲル監督『アーセナル以外に考えられない』 | トップページ | プレミアリーグ、結果(15日)アーセナルが北ロンドンダービーを征し、首位に浮上! »

コラム」カテゴリの記事

プレミアリーグ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アーセナル、ベンゲル監督『アーセナル以外に考えられない』 | トップページ | プレミアリーグ、結果(15日)アーセナルが北ロンドンダービーを征し、首位に浮上! »